
片岡洋望 教授
2018年11月1日付けで城 卓志教授の後任として名古屋市立大学大学院医学研究科 消化器・代謝内科学分野の教授を拝命いたしました片岡洋望です.私たちの教室は消化器疾患と代謝・内分泌疾患を中心に診療を行っている内科学教室です.現在,消化器・代謝内科学教室には約50名のスタッフと大学院生が在籍し,教室の関連病院には約200名の医師が各々の領域の専門医として活躍しています.定期的な検討会,研究会等を通じ互いに密な連携をとりながら臨床,教育,研究に励んでいます.教室には消化管グループ,胆膵グループ,肝臓グループ,内分泌糖尿病グループの4つのグループがあり,自由な雰囲気の中,皆が自分の目標に向かい切磋琢磨しています.
超高齢化社会を迎えるわが国では,生涯に2人に1人が癌になる時代となっています.食道癌、胃癌,大腸癌,膵臓癌,肝臓癌,胆嚢・胆管癌など,消化器,肝膵領域には多くの癌が発生します.早期癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術などの低侵襲な内視鏡的治療は年々増加しています.再発食道癌に対するレーザーを用いた光線力学療法も教室の特色の1つです.進行癌に対しては分子標的治療薬を併用した化学療法,化学放射線療法,免疫チェックポイント阻害剤による癌免疫療法など最新の治療を,消化器外科,病理,放射線科,化学療法室とも密な連携をとりながら行っています.炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎,クローン病),IgG4関連疾患(自己免疫性膵炎、IgG4関連硬化性胆管炎),ウイルス性肝炎や肝癌などの診療,研究にも力を入れています.
代謝内分泌疾患は近年増加傾向にある糖尿病,甲状腺,下垂体,副腎などの内分泌疾患の診療,肥満をテーマにした研究を行っています.近い将来,大学病院に肥満センターを創設し,外科手術も視野にいれた特色のある診療を目指します.
新しい診断法,治療法の確立を目指し,基礎的研究,臨床研究,トランスレーショナルリサーチを積極的に行っています.その成果は広く世界に向けて国際学会での発表や英文論文として発表し,その数も年々増加しています.競争的研究資金の獲得では,文部科学省の科学研究費やAMED(日本医療研究開発機構)の大型研究費などの獲得数も増加傾向にあり,東海地区でもトップクラスとなっています.また,国際性も重視しており,現在の消化器・代謝内科学教室のスタッフのうち14名が海外留学経験者です.
高度な臨床技術と研究遂行能力,国際性,そして高邁な人間性を兼ね備えた優秀なスタッフ,そして充実した関連病院が当教室の一番の財産と考えています.
高いモチベーションを持った1人でも多くの若手医師が,消化器・代謝内科学教室の門をたたき,初期研修医,専攻医,大学院生,あるいは大学・関連病院のスタッフとして私たちの仲間に加わっていただき,ともに夢を追いながら患者さんに最良の医療を提供できる内科医師として成長してゆくことを期待しています.
2018年11月吉日
名古屋市立大学大学院医学研究科 消化器・代謝内科学分野 教授 片岡洋望 Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences Department of Gastroenterology and Metabolism Professor Hiromi Kataoka, M.D., Ph.D. |
学会活動
日本消化管学会:理事,ガイドライン委員会委員長,胃腸科専門医,指導医
日本レーザー医学会:理事,規約委員会委員長,選奨委員会委員,専門医
日本消化器病学:財団評議員, 学術研究助成支援検討委員会委員,専門医,指導医
日本消化器内視鏡学会:社団評議員,専門医,指導医
日本癌学会:評議員
日本内科学会:評議員,総合内科専門医,指導医
日本潰瘍学会:理事
日本消化器癌発生学会:評議員
日本カプセル内視鏡学会:代議員
日本食道学会:評議員
日本光線力学学会:評議員
日本癌治療学会,日本臨床腫瘍学会
日本がん治療認定医機構:がん治療認定医
American College of Gastroenterology Member
International Society of Gastroenterological Carcinogenesis Member
受賞など
2015年 | 消化器とフリーラジカル研究会ベストパネリスト賞 |
2011年 | 日本消化器内視鏡学会学会賞 |
2011年 | 内視鏡医学研究振興財団研究助成 |
2009年 | 内視鏡医学研究振興財団研究助成 |
2004年 | 消化管分子機構研究会優秀演題賞 |
2002年 | Alberta Cancer Board Award, Canada |
2001年 | 持田記念医学薬学振興財団留学補助金 |
2001年 | 名古屋市立大学医学会賞 |
公的研究助成
2018-19年 | 日本医療研究開発機構(AMED)ACT-MS (代表) |
2020-22年 | 科学研究費補助金(基盤C)(2020-2022, 2017-2019, 2014-16,2011-13, 2008-10, 2005-06年) (代表) |
2015-16年 | 日本医療研究開発機構(AMED) 革新的医療技術創出拠点プロジェクト (代表) |
2019-21年 | 科学研究費補助金(基盤B)(分担)(2019-21, 2013-15年) |
2013-14年 | 文部科学省 橋渡し研究加速ネットワークプログラム (代表) |
2011-14年 | 厚生労働省科学研究費補助金 (分担) |
2011-13年 | 独立行政法人科学技術振興機構 (JST) A step (代表) |
2002-03年 | Alberta Heritage Foundation for Medical Research Fellowship, Canada |