2023年 Accept論文

A prospective cohort study of a new electrosurgical unit for preventing colorectal post-ESD coagulation syndrome

受理日:

2023年11月24日

Authors:

Takaya Shimura, Hiroyasu Iwasaki, Takanori Ozeki, Takahito Katano, Yusuke Okuda, Yusuke Mizuno, Shigeki Fukusada, Naomi Sugimura, Mika Kitagawa, Hirotada Nishie, Hiromi Kataoka

 雑誌名

Journal of Gastroenterology and Hepatology

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新規の高周波装置maXiumによる大腸ESD後凝固症候群(PECS)の予防効果を検証した前向き臨床試験の結果です。残念ながらPECSの予防効果としては、negative studyではありましたが、maXiumを使用した大腸ESDの安全性と有効性をはじめて示すことができました。また本試験では、VIO300DとmaXiumの電気回路解析を行っており、これまでにない新たな知見を示せたものと思っています。本試験は、今は大学にいない先生をふくめ、多くのGIグループの先生方に症例登録をいただき完遂することができました。心より感謝申し上げます。(志村)

Role of PPARα in inflammatory response of C2C12 myotubes

受理日:

2023年12月19日

Authors:

Yuki Shimizu, Keiko Hamada, Tingting Guo, Chie Hasegawa, Yusuke Kuga, Katsushi Takeda, Takashi Yagi, Hiroyuki Koyama, Hiroshi Takagi, Daisuke Aotani, Hiromi Kataoka, Tomohiro Tanaka

 雑誌名

Biochemical and Biophysical Research Communications

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近年、サルコペニアなど骨格筋が萎縮する病態が、代謝異常症発症の原因として注目されていますが、残念ながら確立した治療法はありません。そこで骨格筋萎縮の原因の一つとされる骨格筋細胞の炎症応答に着目して、PPARαの作用を解析しました。本論文では、PPARαが骨格筋細胞においても抗炎症作用を有すること、高脂血症治療薬として臨床で使用されているPPARαリガンド(フェノフィブラート、ペマフィブラート)が、それぞれ異なる機序で骨格筋細胞の炎症性変化を修飾する可能性を示しました。研究立案から論文作成に至るまできめ細やかにご指導いただきました田中先生をはじめ共著者の先生方、実験に協力していただいた医局の皆様に、厚く御礼申し上げます。(清水)

動脈硬化症からMASLD、肥満における食欲調節異常に到るまで、幅広い代謝疾患における炎症の重要性が明らかになってきました。本研究は、骨格筋を場とした“イムノメタボリズム”研究の最先端を担う研究だと確信しています。持前のこだわりと粘り強い努力でアクセプトを勝ち取った清水先生に敬意を表します。(田中(智))

Incidence of pancreatic injury and pancreatitis in patients treated with immune checkpoint inhibitors

受理日:

2023年12月08日

Authors:

Hori Y, Naitoh I, Naiki-Ito A, Kawai T, Yoshida M, Kato A, Kachi K, Sahashi H, Adachi A, Toyohara T, Kito Y, Yamamoto T, Takahashi S, Kataoka H

 雑誌名

Clinical and Translational Gastroenterology

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免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を使用した際の関連合併症の膵炎(irAE膵炎)の情報は極めて少ないです。CTCAE分類では膵障害(ICI-PI)に焦点が当てられていますが、Grade別のその報告は実臨床経験とはかけ離れたものがあり、多数コホートを用いての解析が必要と考え立案しました。当院における850例弱のICI投与患者のICI-PIとirAE膵炎発症頻度に関して報告させていただきました。ICI同時投与を含む2剤以上の使用と10サイクル上の投与は全GradeおよびGrade3以上のICI-PIの予測因子であることを多変量解析で証明しました。irAE膵炎は5.7%に認めましたが、多くは無症状で現行のガイドラインでは治療介入を必要としません。しかし、膵機能の長期経過など含め考慮する必要があり、治療介入適応は慎重に判断されるべきと考えます。ICI治療が日進月歩な現代において、この論文は膵臓関連合併症のマイルストーンになると確信しております。新しい疾患概念の発症頻度などの提唱のため、多くの苦労はありましたが、病理・放射線科の先生方にもご指導いただき無事論文化することができました。関わられた全ての先生方に厚く御礼申し上げます。(堀)

Serum CXCL10 levels at the start of the second course of atezolizumab plus bevacizumab therapy predict therapeutic efficacy in patients with advanced BCLC stage C hepatocellular carcinoma: A multicenter analysis

受理日:

2023年12月10日

Authors:

Takanori Suzuki, Kentaro Matsuura, Yuta Suzuki, Fumihiro Okumura, Yoshihito Nagura, Satoshi Sobue, Sho Matoya, Tomokatsu Miyaki, Yoshihide Kimura, Atsunori Kusakabe, Satoshi Narahara, Takayuki Tokunaga, Katsuya Nagaoka, Keita Kuroyanagi, Hayato Kawamura, Kayoko Kuno, Kei Fujiwara, Shunsuke Nojiri, Hiromi Kataoka, Yasuhito Tanaka

 雑誌名

Cancer Medicine

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本研究は主に遠隔転移を伴うBCLC stageCの切除不能肝細胞癌症例において、現在の肝癌の全身化学療法の第1選択であるアテゾリズマブ・ベバシズマブ併用療法投与症例の2コース目開始時の血中ケモカインCXCL10が治療効果・予後の予測に有用であることを見出して、論文化したものになります。本検討は名市大関連多施設共同肝疾患研究グループ(Sakurayama liver study group: SLSG)による第3報であり、御協力いただきました関連病院の先生方に深謝申し上げます。今後も関連病院多施設共同研究において更なる検討・論文化ができればと思いますので、引き続き、御協力の程よろしくお願い申し上げます。(鈴木)

SLSG各施設において収集した患者血清を用いてCXCL10を候補とし、更に熊本大学コホートを含めた多数例で検討し論文化いたしました。関係各位に深謝申し上げます。(松浦)

Dual role of autotaxin as novel biomarker and therapeutic target in pancreatic neuroendocrine neoplasms

受理日:

2023年9月15日

Authors:

Tadashi Toyohara, Michihiro Yoshida, Katsuyuki Miyabe, Kazuki Hayashi, Itaru Naitoh, Hiromu Kondo, Yasuki Hori, Akihisa Kato, Kenta Kachi, Go Asano, Hidenori Sahashi, Akihisa Adachi, Kayoko Kuno, Yusuke Kito, Yoichi Matsuo, Hiromi Kataoka

 雑誌名

Cancer Science

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大学院を通じて膵神経内分泌腫瘍におけるオートタキシンの発現とその影響について研究を進めてまいりました。膵神経内分泌腫瘍においてオートタキシンが高発現し、採血でも高値を示す傾向が強いことを示しつつ、オートタキシンが腫瘍増殖に関与し、その阻害薬が増殖抑制に有効であることが示されました。これらの検討からオートタキシンがバイオマーカーとしても治療ターゲットとしても有用であり臨床応用の可能性も示唆されました。論文作成にあたり、多くの先生方および病院スタッフの方々にご指導やご協力を賜りました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。(豊原)

Pancグループのオートタキシン研究2報目として、膵癌に続き今回は膵神経内分泌腫瘍に注目し、大学院生の豊原先生に基礎実験から臨床データまで丁寧にまとめていただきました。論文Acceptおめでとうございます。そして大変お疲れ様でした。(吉田)

Immunomodulators after the discontinuation of anti-tumor necrosis factor-alpha antibody treatment and relapse in ulcerative colitis: A multicenter cohort study

受理日:

2023年10月12日

Authors:

Kunio Asonuma, Keiji Ozeki, Hajime Yamazaki, Shinji Okabayashi, Soh Okano,
Ryo Ozaki, Nobuaki Nishimata, Hiroki Kiyohara, Naoki Ichinari, Taku Kobayashi, Masahiro Yamada, Mao Matsubayashi, Yoko Yokoyama, Shoko Arimitsu, Junji Umeno, Yoshinori Munetomo, Akira Andoh, Shinichiro Shinzaki, and IBD Terakoya Group.

 雑誌名

J Gastroenterol Hepatol

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今回、日本炎症性腸疾患学会の支援を受け、全国40の施設で行われた多施設共同研究についてご報告いたします。この研究は、全国40施設で寛解期に抗TNF-α抗体薬を中止した潰瘍性大腸炎(UC)患者(257例)を対象とし、中止後の再発をIMグループ(抗TNF-α抗体薬中止時に免疫調節薬を併用する群)とNon-IMグループ(抗TNF-α抗体薬中止時に免疫調節薬を併用しない群)で比較検討しました。その結果、抗TNF-α抗体薬中止時の免疫調節薬と再発との関連性は見られず、中止時の年齢が若い場合および副作用を理由に中止した場合に再発リスクが高いことが明らかになりました。この研究は、日本で質の高い炎症性腸疾患(IBD)に関する臨床試験を実施したいという試みの一環として、日本炎症性腸疾患学会主催の第4回臨床研究教育セミナー(2019年3月24日開催)で採択された研究になります。多施設共同臨床研究のデザインから論文の執筆まで、段階的に学ぶ機会を得たことで、多施設共同研究の立案から論文化までのプロセスを学び、全国のIBD専門医との交流も持つことができ、非常に刺激的な経験となりました。今後も医局員の先生方が同様の機会を得るために尽力してまいります。(尾関)

Successful removal of a fractured pancreatic stent using a novel thin-tapered drill dilator

受理日:

2023年10月19日

Authors:

Hori Y, Kato A, Kachi K, Ichino Y, Naitoh I, Yoshida M, Kataoka H

 雑誌名

Endoscopy International Open

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当院は全国でも有数の慢性膵炎診療を行っている病院です。慢性膵炎の主膵管狭窄に対して膵管ステントを留置しておりますが、その交換には苦慮する場合がございます。スネアにて把持したところステントが切れてしまい、抜去できない症例を経験しました。各種デバイスを使用しましたが抜去できず、新型のドリルダイレーター(Tornus ES; Asahi Intecc, Aichi, Japan)を使用することでステントをねじり出し、処置に成功した症例を経験しましたので報告させていただきました。処置および論文作成に際し、ご指導いただきました共著者の先生方に厚く御礼申し上げます。(堀)

The novel technique of drainage stenting using a tapered sheath dilator in endoscopic ultrasound-guided biliary drainage

受理日:

2023年10月11日

Authors:

Akihisa Kato, Michihiro Yoshida, Yasuki Hori, Kenta Kachi, Hidenori Sahashi, Tadashi Toyohara, Akihisa Adachi, Kayoko Kuno, Yusuke Kito, Hiromi Kataoka.

 雑誌名

DEN Open

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近年普及しつつある超音波内視鏡ガイド下胆道ドレナージ術(EUS-BD)ですが、安全・確実な手技の確立は未だなされていません。重篤な合併症となり得る胆汁漏や腹膜炎を予防できる方法として、「EndoSheather」を用いたステント留置法を新たに提案しました。今後の標準的なステント留置法となる可能性のある非常に意義の高い報告が出来たと考えています。多忙な日常診療の中で常に新しいことに取り組む共著の先生方に敬意を表するとともに、この場を借りて厚く御礼申し上げます。(加藤)

Basket-assisted method for removal of floating pancreatic stones by electronic hydraulic lithotripsy through peroral pancreatoscopy

受理日:

2023年9月1日

Authors:

Akihisa Kato, Michihiro Yoshida, Yasuki Hori, Kenta Kachi, Hidenori Sahashi, Akihisa Adachi, Hiromi Kataoka.

 雑誌名

Endoscopy International Open

コメント

当院は全国でも有数の膵石治療を多く経験している病院と考えます。従来からのESWL治療に加え、近年ではSpyGlass経口膵管鏡を用いた電気水圧衝撃波結石破砕術(EHL)が有用であることが示されつつあります。しかし中には硬い膵石も存在し、衝撃波で破砕される前に拡張した膵管内で浮遊して破砕困難となるケースがあります。そういった膵石をバスケットカテーテルで把持しながら、EHLで完全に破砕し得た症例を動画と併せて報告しました。非常に内容がマニアックですが、今後も難治性膵石に挑み続ける病院として貴重な症例報告であると考えます。(加藤)

Kinetics of iTACT-HBcrAg and -HBsAg assays in chronic hepatitis B patients with hepatitis B surface antigen seroclearance

受理日:

2023年9月8日

Authors:

Takanori Suzuki, Kentaro Matsuura, Takehisa Watanabe, Takeshi Matsui, Shintaro Ogawa, Hayato Kawamura, Kayoko Kuno, Kei Fujiwara , Shunsuke Nojiri, Hiromi Kataoka, Yasuhito Tanaka.

 雑誌名

Journal of Medical Virology

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本研究は現在のB型肝炎治療の目標であるHBsAg陰性化が達成できた症例の経時的な保存血清を用いて、肝組織中のcccDNAの活動性を反映するHBcrAgを新規高感度測定系で経時的に測定し、異なる病態(慢性肝炎、非活動性キャリア)における動態を検討しました。本結果により、今後のB型慢性肝炎の治療目標に高感度HBcrAgを含めることの可能性を示しました。大学院修了間際にHigh Journalへacceptされて大変嬉しく思います。共著者の方々には論文作成にあたり、御指導頂き、この場を借りて感謝申し上げます。(鈴木)

B型慢性肝疾患の機能的治癒を達成した貴重な症例の経時的な保存血清を用いて、大変臨床的意義の大きい知見を見出しました。今後、益々HBcrAg測定の意義が検討されると予想されます。検討し始めた当初は、なかなか論文化するのは難しいと予想していましたが、鈴木先生があきらめず形にしてくれました。尚、本研究は、熊本大学、手稲渓仁会病院との共同研究のもと行いました。(松浦)

Serum IP-10/CXCL10 levels predict regression of M2BPGi-based liver fibrosis after hepatitis C virus eradication by direct-acting antiviral agents

受理日:

2023年8月25日

Authors:

Yoshihito Nagura, Takanori Suzuki(co-first author), Kentaro Matsuura, Shintaro Ogawa, Hayato Kawamura, Kayoko Kuno, Kei Fujiwara, Shunsuke Nojiri, Katsuya Nagaoka, Etsuko Iio, Takehisa Watanabe, Hiromi Kataoka, Yasuhito Tanaka.

 雑誌名

Hepatology Research

コメント

治療法が進歩したC型肝炎領域において、HCV排除後の肝線維化の改善、肝発癌については、大変重要な検討課題となっています。ケモカインであるCXCL10(IP-10)は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染下の肝臓における炎症・線維化と関連することが過去に報告されていますが、今回、肝線維化が高度に進展したC型慢性肝炎患者の保存血清を用いて、抗ウイルス治療開始時から終了後24週(SVR24)までの血清CXCL10の変化量が、HCV排除後の肝線維化の改善予測に有用であることを報告しました。本研究の論文作成に関しては共著者の方には御指導を頂き、深謝申し上げます。(鈴木)

今後、CXCL10の肝線維化および肝発癌分子機構における役割が明らかになることが期待されます。本論文の内容は、現在、春日井市民病院に勤務している名倉義人先生が、大学院時に取り組んだメインの研究課題で、大学の鈴木孝典先生がco-first authorとしてまとめていただきました。大変時間を要しましたが、良い結果を得ることができました。なお、本研究は、大阪大学の竹原徹郎教授を代表とするAMED研究班の個別分担研究の一環として、また熊本大学との共同研究として行った研究です。(松浦)

A case of asymptomatic gastric plexiform fibromyxoma followed-up for three years

受理日:

2023年819

Authors:

Naomi Sugimura, Eiji Kubota, Makiko Sasaki, Shigeki Fukusada, Yusuke Mizuno, Hiroyasu Iwasaki, Mamoru Tanaka, Keiji Ozeki, Takaya Shimura, Hiromi Kataoka.

 雑誌名

DEN Open

コメント

胃のplexiform fibromyxomaの症例を報告させていただきました。PFはまれな粘膜下腫瘍であり、EUS-FNAや粘膜切開生検を行いましたが診断がつかず、最終的には手術を行い、免疫組織化学染色で診断がつきました。当院で診断がついて貴重な症例を報告でき、論文作成にあたって御指導いただきました久保田先生をはじめ共著者の皆様に心より感謝申し上げます。

Reovirus combined with a STING agonist enhances antitumor immunity in a mouse model of colorectal cancer

受理日:

2023年724

Authors:

Naomi Sugimura , Eiji Kubota , Yoshinori Mori , Mineyoshi Aoyama , Mamoru Tanaka , Takaya Shimura , Satoshi Tanida , Randal N Johnston, Hiromi Kataoka.

 雑誌名

Cancer Immunol Immunother

コメント

腫瘍溶解性ウイルス、レオウイルスを用いたがん免疫療法について検証した論文となります。今回はI型インターフェロンの発現誘導を介し抗腫瘍免疫を活性化するDNAセンサーであるSTINGに着目し、大腸癌に対するSTING agonistとレオウイルスの併用療法についての有効性を報告しました。今回の研究により、レオウイルスによる癌治療の課題を、STING agonistを用いて解決することで、今後のレオウイルスによる治療の発展性を感じました。実験にあたり苦労も多く、研究の難しさを痛感しましたが、結果を出すことができ、大変嬉しく思います。本論文作成にあたり、研究立案から論文作成に至るまで、ご指導くださいました久保田先生をはじめ、共著者の先生方および実験に協力していただいた医局の皆様に、厚く御礼申し上げます。(杉村)

多くの労力と時間を要しましたが、杉村先生の粘り強さと継続的な努力により、この研究を成果としてまとめることができました。今後のウイルス治療の発展に寄与する論文になったと思います。お疲れ様でした。(久保田)

Osteopontin secreted from obese adipocytes enhances angiogenesis and promotes progression of pancreatic ductal adenocarcinoma in obesity

受理日:

2023年8月12日

Authors:

Shigeki Fukusada, Takaya Shimura, Makoto Natsume, Ruriko Nishigaki, Yusuke Okuda, Hiroyasu Iwasaki, Naomi Sugimura, Mika Kitagawa, Takahito Katano, Mamoru Tanaka, Keiji Ozeki, Eiji Kubota, Kazuki Hayashi, Hiromi Kataoka.

 雑誌名

Cellular Oncology

コメント

脂肪細胞と癌細胞の相互作用、また血管新生の促進による癌の進展というテーマを、志村先生の指導の下、取り組ませて頂きました。肥満は、膵癌の高リスクおよび予後不良因子であることが報告されていますが、その機序に関しては未解明な点が多いのが現状です。今回、肥満をきたす脂肪組織から高度に分泌されるオステオポンチンが、血管新生を介し、膵癌の進展を促進することを解明し、報告しました。なかなか思うような結果が出ない時期もありましたが、この研究に従事することで、癌の奥深さの一端に触れることができ、非常に貴重な経験となりました。研究立案から論文作成という全てのプロセスで丁寧に指導してくださった志村先生をはじめ、共著者の皆様の協力で、どうにか形にすることができました。厚く御礼申し上げます。(福定)
前任の大学院生の夏目先生からの研究を引き継ぎ、福定先生が肥満における膵癌進展のメカニズムについての新たな知見を見出してくれました。福定先生の日頃のがんばりに敬意を表するとともに、胆膵Gの夏目先生・林先生にも感謝いたします(志村)。

3-Fr microcatheter-assisted endoscopic ultrasound-guided rendezvous technique with a 22-gauge needle and a 0.018-inch guidewire for difficult biliary cannulation

受理日:

2023816

Authors:

Makoto Natsume, Michihiro Yoshida, Kazuki Hayashi, Itaru Naitoh, Yasuki Hori, Akihisa Kato, Kenta Kachi, Hiromi Kataoka.

 雑誌名

Journal of Hepato-Biliary-Pancreatic Sciences

コメント

内視鏡的超音波ガイド下ランデブー(EUSRVは胆管挿入が困難な症例で行われていますが、ガイドワイヤー操作の困難さ、胆汁漏の危険性、ガイドワイヤー回収時のランデブールートを損傷するといったリスクがあります。今回安全にEUSRV処置に行うために、22Gの穿刺針と0.018インチのガイドワイヤーと3Frマイクロカテーテルを用いることが有用であった症例の報告をさせていただきました。お忙しい中御指導いただきました吉田道弘先生はじめ、ご協力いただきました共著者の皆様に心より感謝申し上げます。(夏目)

A Case of Adult-onset Type II Citrullinemia Developed under Dietary Restrictions during Imprisonment

受理日:

2023年6月19日

Authors:

Takanori Suzuki, Kentaro Matsuura, Naoto Imura, Hayato Kawamura, Kayoko Kuno, Kei Fujiwara , Shunsuke Nojiri , Shogo Ito, Takao Togawa, Hiromi Kataoka.

 雑誌名

Internal medicine

コメント

食事内容の制限がかかる特殊な状況下にて発症した成人2型シトルリン血症の患者様の症例報告をさせていただきました。本症例では小児科の先生方に診断確定のための遺伝子解析を行っていただき、厚く御礼申し上げます(鈴木)。

当院へ紹介初診時に、特異な食嗜好、過去のエピソードなどの詳細な聴取により診断に至った大変貴重な症例を、鈴木孝典先生が論文化してくれました。また、本症例の発表により、現在専攻医3年目の井村尚斗先生は内科学会東海地方会で優秀演題賞、鈴木孝典先生は名古屋肝疾患研究会で優秀演題賞を受賞しました(松浦)。

Endoscopic ultrasound-guided biliary recanalization with a novel rendezvous balloon-inflating assistance technique for isolated bile leakage

受理日:

2023年4月24日

Authors:

Naruomi Jinno, Michihiro Yoshida, Kazuki Hayashi, Itaru Naitoh, Yasuki Hori, Makoto, Natsume, Hiromi Kataoka.

 雑誌名

Endoscopy

コメント

離断型胆汁漏は治療に難渋することが多く、外科的手術を避けられないこともあります。当教室において術後難治性胆汁漏に対する経口胆道鏡(SpyGlass DS)を用いた内視鏡的治療を報告しております。今回経口胆道鏡に加えて超音波内視鏡下でバルーンカテーテル
のバルーンをターゲットにして穿刺を行い、離断型胆汁漏の内視鏡的治療に成功した症例を報告いたしました。本症例は今後の内視鏡的治療の工夫の一助になるものと考えています。お忙しい中、手技から論文作成まで丁寧にご指導いただきました林香月先生、吉田道弘先生をはじめ、ご協力いただきました共著者の皆様に心より感謝申し上げます。(神野)

Theoretical Step Approach with ‘Three-pillar’ Device Assistance for Successful Endoscopic Transpapillary Gallbladder Drainage

受理日:

2023年2月2日

Authors:

Michihiro Yoshida, Itaru Naitoh, Kazuki Hayashi, Yasuki Hori, Akihisa Kato , Kenta Kachi, Go Asano, Hidenori Sahashi, Tadashi Toyohara, Kayoko Kuno, Yusuke Kito, and Hiromi Kataoka

 雑誌名

PLOS ONE

コメント

急性胆嚢炎に対する内視鏡的経乳頭胆嚢ドレナージ術(ETGBD)の成功率向上のため、①経口胆道鏡、②東部医療センターの林香月教授が開発された新型ガイドワイヤー、③3-Fr.マイクロカテーテルを「3本の矢」として活用する有用性についてまとめた論文です。

ご指導いただきました内藤先生、ご協力いただきました共著者の皆様に心より感謝申し上げます

The neutrophil-to-lymphocyte ratio at the start of the second course during atezolizumab plus bevacizumab therapy predicts therapeutic efficacy in patients with advanced hepatocellular carcinoma: A multicenter analysis

受理日:

2023年1月28日

Authors:

Sho Matoya, Takanori Suzuki (co-first author), Kentaro Matsuura, Yuta Suzuki, Fumihiro Okumura, Yoshihito Nagura, Satoshi Sobue, Keita Kuroyanagi, Atsunori Kusakabe, Hiroki Koguchi, Izumi Hasegawa, Tomokatsu Miyaki, Yoshito Tanaka, Hiromu Kondo, Yoshihide Kimura, Atsushi Ozasa, Hayato Kawamura, Kayoko Kuno, Kei Fujiwara, Shunsuke Nojiri, Hiromi Kataoka

 雑誌名

Hepatology Research

コメント

本研究は肝癌の全身化学療法の第一選択であるアテゾリズマブ・ベバシズマブ併用療法投与症例の2コース目開始時の好中球・リンパ球比が治療効果・予後の予測に有用であることを見出して、関連病院の豊川市民病院、的屋奨と協力し、論文化したものになります。本検討は名市大関連多施設共同肝疾患研究グループ(Sakurayama liver study group: SLSG)による第2報であり、御協力いただきました関連病院の先生方に深謝申し上げます。アテゾリズマブ・ベバシズマブ併用療法に関しては今後も更なる検討・論文化を予定していますので、引き続き、御協力の程よろしくお願い申し上げます。(鈴木)

本研究は関連病院の若手の先生が中心となって臨床データを収集していただき、的屋先生、鈴木先生でまとめていただいたという当教室にとっても大変意義の大きい論文成果を得ました。引き続き、若い力が中心となってSLSGから研究成果を発信していくことが期待されます。(松浦)

Anti-tumor immunity enhancement by photodynamic therapy with talaporfin sodium and anti-programmed death 1 antibody

受理日:

2023年1月2日

Authors:

Makiko Sasaki, Mamoru Tanaka, Yuki Kojima, Hirotada Nishie, Takaya Shimura, Eiji Kubota and Hiromi Kataoka

 雑誌名

Molecular Therapy: Oncolytics

コメント

アブスコパル効果は、放射線照射によって照射野以外の病変にも認められる腫瘍縮小効果で、放射線照射による癌免疫の活性化の関与が示唆されています。光線力学療法(PDT)でも同様の効果が得られることが報告されており、今回我々は本邦で保険承認されたレザフィリンPDTによる癌免疫の基礎的解析を行い、そこに近年注目されている免疫チェックポイント阻害薬を併用することで癌免疫のさらなる活性化をきたすことを報告しました。

殺細胞性効果の強い治療を目指すのみでなく、PDTによる内在性免疫の活性化を課題に、今後もさらなるPDT研究を当教室より世界へ発信していけたらと思っています。

本論文作成にあたり、研究立案から論文作成までご指導いただきました田中先生はじめ皆様に厚く御礼を申し上げます。(佐々木)