2019年 Accept論文

 

A multicenter, single-blind randomized controlled trial of endoscopic clipping closure for preventing post-ESD coagulation syndrome

受理日:

2019年11月22日

Authors:

Nomura S, Shimura T, Katano T, Iwai T, Mizuno Y, Yamada T, Ebi M, Hirata Y, Nishie H, Mizushima T, Nojiri Y, Togawa S, Shibata S, Kataoka H

 

 雑誌名

Gastrointestinal Endoscopy

コメント

大腸ESD後の偶発症の一つである凝固症候群に対してのクリップ縫縮の意義について、各施設のご協力の下、多施設前向きで臨床試験を行うことができました。本試験を完遂できたのも、ひとえに参加いただきました各施設からの多分のご協力の上と実感しております。重ね重ね厚く御礼申し上げます。志村先生、片野先生と本研究のコンセプト、プロトコールについて、熱く議論を重ねた3年ほど前を懐かしく振り返り、その上でこの度の成果がえられたこと万感の思いであります。。ご指導いただきました志村先生、片野先生、片岡教授に厚く御礼申し上げます。(野村)

大腸ESD後に発熱や炎症をきたす凝固症候群に対する、クリップ縫縮の意義を検証した世界初のRCT:CliPEC試験です。結果、negative studyではありましたが、本試験を通じ様々な新たな知見を見出すことができ、多くのリバイスを経て内視鏡のtop journalであるGIEにアクセプトされました。多忙な日常臨床のなか、献身的に症例登録をしていただいた関連施設の先生方のご協力に深く感謝いたします。(志村)

 

Rationale, Design, and Methods of the Study of Comparison of Canagliflozin vs. Teneligliptin Against Basic Metabolic Risks in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus (CANTABILE study): Protocol for a Randomized, Parallel-Group Comparison Trial

受理日:

2019年11月1日

Authors:

Cheol Son* . Masato Kasahara* . Tomohiro Tanaka* . Noriko Satoh-Asahara . Toru Kusakabe . Kunihiro Nishimura . Yoshihiro Miyamoto . Shu Kasama . Kiminori Hosoda

*Equally contributed first authors

 雑誌名

Diabetes Therapy

コメント

DPP4阻害薬とSGLT2阻害薬は、いずれも副作用が少ない新しい糖尿病治療薬として、近年幅広く用いられています。しかし、肥満、脂質異常症、高血圧症など、糖代謝異常以外のメタボリックリスクに及ぼす影響をこれら2剤間で直接比較した研究はほとんどありません。今回の報告は、DPP4阻害薬テネリグリプチンとSGLT2阻害薬カナグリフロジンを用いて同等の血糖コントロールを目指した際のメタボリックリスクの変化をhead-to-headで比較する多施設共同ランダム化前向き試験(CANTABILE Study)(実施責任組織:国立研究開発法人国立循環器病研究センター)のプロトコル論文です。田中は本研究のプロトコル委員長として研究計画の立案を行いました。近日中に研究結果の第一報を報告の予定であり、成果はこれからの糖尿病治療に大きなインパクトを与えることが期待されます。(田中智)

Effect of Asfotase Alfa on Muscle Weakness in a Japanese Adult Patient of Hypophosphatasia with Low ALP Levels

受理日:

2019年10月2o日

Authors:

Koyama H, Yasuda S, Kakoi S, Ohata Y, Shimizu Y, Hasegawa C, Hayakawa A, Akiyama T, Yagi T, Aotani D, Imaeda K, Ozono K, Kataoka H, Tanaka T

 雑誌名

Internal Medicine

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ALPL遺伝子の変異により骨の石灰化が障害され全身性の異常をきたす低ホスファターゼ症は厚生労働省指定の難病疾患でありますが、本邦における報告例のほとんどが乳児型あるいは小児型でありました。

我々はこのたび、進行性の全身倦怠感・筋力低下に悩む日本人壮年女性を低ホスファターゼ症と診断し、酵素補充療法により症状の改善を認めた症例を経験しましたので報告いたしました。

遺伝子解析をしていただいた大阪大学の大幡泰久先生・大薗恵一先生、ALPに代謝される基質の測定をしていただいた岡山大学の秋山倫之先生、指導していただいた田中先生をはじめ、ご協力いただいた全ての先生方に感謝いたします。ありがとうございました。(小山)

 最近、酵素補充療法(Enzyme replacement therapy)が可能となった難病、“低フォスファターゼ症”のわが国初の成人治療例の報告です。診断がなされず、未治療のまま困っておられる潜在患者さんが多数おられる可能性もあります。本疾患の存在の周知の一助となれば幸いです。(田中智)

A combination of dietary fat intake and nicotine exposure enhances CB1 endocannabinoid receptor expression in hypothalamic nuclei in male mice

受理日:

2019年10月10日

Authors:

Guo T, Tanaka T, Matsumoto M, Kaneko K, Unzai T, Ogino Y, Aotani D, Kusakabe T, Iwakura H, Miyazawa T, Sawamoto K, Minokoshi Y, Masuzaki H, Inagaki N, Nakao K

雑誌名

Neuroscience Letters

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Obesity and smoking habits are serious risk factors for cardiovascular diseases. In this paper, we studied the effects of the combination of obesity and smoking on the hypothalamus, the regulatory center of the appetite. We have found that the combination of high fat diet and nicotine administration increases endocannabinoid receptor 1 (CB1R) in hypothalamic nuclei in mice. Our finding provides a new paradigm for the future treatment of obesity through the manipulation of central endocannabinoid system. (郭)

 肥満症は、薬物依存にも似た“食に対する習慣性”に起因する病気と考えられています。この研究は、肥満と喫煙習慣の併存が、食欲中枢の内因性麻薬様物質エンドカンナビノイドのシグナルを増強させてしまう可能性を示した初めての研究です。この成果は今後、肥満症の治療戦略に示唆を与えるものと確信します。(田中智)

Pathological impact of transanal colorectal tube for obstructive colorectal cancer

受理日:

2019年9月28日

Authors:

Okuda Y, Shimura T, Kato H, Yamada T, Hirata Y, Natsume M, Iwasaki H, Yamaguchi R, Sakamoto E, Takahashi S, Kataoka H

雑誌名

Surgical Endoscopy

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急性閉塞性大腸癌に対する経肛門的イレウス管留置術が大腸原発巣やその周囲に与える影響を分子病理学的に検討し、標準治療である緊急手術と比べて悪影響を与えないことを報告しました。共同研究をしていただいた名古屋第二赤十字病院の山田智則先生、春日井市民病院の平田慶和先生、実験病態病理学の高橋智先生、加藤寛之先生、研究デザインから論文作成まで御指導いただきました志村貴也先生、ならびに共著者の先生方に厚く御礼を申し上げます (奥田)。

われわれがこれまでに報告してきた閉塞性大腸癌に対する経肛門的イレウス管(TCT)留置術に関しての集大成の研究であり、TCT関連で奥田先生自身も3報目のpaperです。分子病理学的な見地からみて、TCTが根治切除可能閉塞性大腸癌に対し有用な処置法であることのエビデンスをひとつ加えてくれました。症例集積に多大なご尽力をいただいた春日井市民:平田先生・八事日赤:山田先生、病理検討にご助力賜りました高橋教授・加藤先生に感謝いたします (志村)。

 

Current status of urinary diagnostic biomarkers for colorectal cancer

受理日:

2019年8月14日

Authors:

Iwasaki H, Shimura T, Kataoka H.

雑誌名 Clinica Chimica Acta
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 大腸癌は全世界的に症例が多く、そのスクリーニングは便潜血検査とS状結腸内視鏡検査がゴールドスタンダードとされています。ただそれぞれに欠点も多く、我々は尿こそ理想的なスクリーニングツールと考え、研究を続けてきております。今回は、大腸癌のための尿中スクリーニングマーカーの候補についてまとめました。執筆の機会を賜り、またご多忙を極める中ご指導頂きました志村先生に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。(岩崎)

大腸癌診断における尿中バイオマーカーについてのReview articleです。種々の尿中バイオマーカー候補因子についての現況と問題点について、限られた時間のなかで、岩崎先生がとてもわかりやすくまとめてくれました。本論文作成を通じ、われわれも知識の整理ができ、新たな課題もみえてきましたので、今後もよりよい非侵襲的な早期診断開発をめざしてがんばっていきましょう。おつかれさまでした。(志村)

 

Predictive factors for the mortality of acute pancreatitis on admission

受理日:

2019年8月8日

Authors:

Jinno N, Hori Y, Naitoh I, Miyabe K, Yoshida M, Natsume M, Kato A, Asano G, Sano H, Hayashi K.

雑誌名 PLOS ONE
コメント

現行の日本の急性膵炎診療ガイドラインは発症早期の重症度判定が可能で、48時間以降に判定する改訂アトランタ分類と比較して、その重症例も含め選別することに優れており、速やかな高次医療機関への転送、集学的治療が可能となっています。しかし、判定基準が煩雑であること、高次医療機関における早期の予後予測因子が明らかでないことなどが問題点として挙げられます。今回、現行のガイドラインで使用されている判定基準および重症度スコアリングシステムの中で、特に入院時の予後予測に寄与する因子を明らかにすることを目的に解析を行いました。その結果、血液検査項目ではHt>40%、BUN>40mg/dL、B.E.<-3.0mmol/Lが特に重要な因子であると考えられました。また、画像所見における「骨盤腔内への炎症波及」という新たな概念を定義し、それが予後予測因子になり得る可能性について提唱しました。論文作成のご指導をいただいた堀寧先生、内藤格先生、症例収集にご協力いただきました豊川市民病院:佐野仁先生およびご協力いただきました全ての先生方に厚く御礼申し上げます。(神野)

急性膵炎は、診療ガイドラインの普及による病態の周知やPancreatitis Bundlesの遵守により、救命率が飛躍的に向上している疾患です。私共は基幹病院として、患者様をご紹介いただく地域の先生方ならびに関連病院の先生方の期待に応えるべく、急性膵炎診療体制の確立が必要であると考えております。その中で、「骨盤腔内への炎症波及」という新たな概念を提唱したこの論文を世に送り出せたことは、大きな一歩と感じております。論文投稿から受理まで1年以上を要してしまいましたが、今回の結果を大変嬉しく思っております。神野先生おめでとうございました。(堀)

 

Prophylactic technique for preventing inward stent migration during placement of multiple plastic stents in a patient with surgically altered anatomy

受理日:

2019年7月30日

Authors:

Kachi K, Hori Y, Hayashi K, Naitoh I, Yoshida M, Kataoka H.

雑誌名

Endoscopy

コメント

術後再建腸管ERCPなどのSevereなケースにおけるプラスチックステント(PS)留置では、一度PSが迷入すると回収が困難であるため、予防することが重要です。今回、術後再建腸管患者に対し複数本のPSを留置する際、その側孔からガイドワイヤーを出すという対処法で、迷入を確実に予防できた症例を報告させて頂きました。論文作成の御指導を頂いた堀寧先生、ならびに動画作成にご協力頂いた林香月先生に深く御礼申し上げます。(加地)

日常診療で困らないためのTipsとして非常に有用な方法と思い報告させていただきました。処置ならびに論文作成に関しご尽力いただきました先生方に厚く御礼申し上げます。加地先生おめでとうございました。(堀)

 

 

 

A novel urinary microRNA biomarker panel for detecting gastric cancer

受理日:

2019年6月19日

Authors:

Iwasaki H, Shimura T, Yamada T, Okuda Y, Natsume M, Kitagawa M, Horike S, Kataoka H

雑誌名

Journal of Gastroenterology

コメント

胃癌診断のための侵襲のないスクリーニングツールは確立されておらず、今回尿中miRNAをパネル化することにより胃癌の診断バイオマーカーとなることを報告しました。多数例での検討で、多方面からの検証も行ってあり、大きなインパクトを有していると自負しております。ご多忙のなか丁寧にご指導頂いた志村先生を始め、共著者の先生方に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。(岩崎)

岩崎先生の大学院生としての最初の仕事である、尿中miRNAを用いた胃がん診断バイオマーカーの開発・研究です。多角的な検証も加え、Supple.あわせ合計20のTable/Figureからなる膨大な量のデータを気合いできれいにまとめてくれました。今後の研究発展にもつながる大変重要な結果であり、今後のさらなる活躍を期待しております。(志村)

 

Successful per-oral endoscopic removal of migrated metal stent

受理日:

2019年4月12日

Authors:

Hori Y, Hayashi K, Sobajima Y, Naitoh I, Miyabe K, Yoshida M, Kataoka H.

雑誌名

Endoscopy

コメント

悪性胃十二指腸狭窄に対する、カバー付き胃十二指腸ステントの機能不全の主原因として「逸脱」があります。ステントが逸脱した際は、肛門からの自然排出に期待するか、開腹手術による除去が一般的です。我々の調べ得る限りでは、小腸へ逸脱したステントを経口的に回収した論文はありません。今回、小腸内視鏡を使用して、空腸へ逸脱したステントの回収に成功し、開腹手術を回避できた症例を経験しましたため報告させていただきました。処置ならびに論文作成に関して、ご指導いただきました先生方に厚く御礼申し上げます。(堀)

 

Placental growth factor is a predictive biomarker for ramucirumab treatment in advanced gastric cancer

受理日:

2019年3月14日

Authors:

Natsume M, Shimura T, Iwasaki H, Okuda Y, Kitagawa M, Okamoto Y, Hayashi K, Kataoka H.

雑誌名

Cancer Chemotherapy and Pharmacology

コメント

胃癌組織中のRNA発現解析およびin vitroの実験結果から、腫瘍組織中のPlGF発現が切除不能進行・再発胃癌症例に対するラムシルマブ療法の効果予測因子であることを見出し報告させていただきました。実験から論文作成までご指導いただきました志村貴也先生をはじめ、ご協力頂きました共著者の先生方、院生としての実験への専念に日頃ご協力いただいております先生方に深く感謝申し上げます。(夏目)

大学院生の夏目先生がサブワークとして取り組んでくれた研究で、血管新生阻害剤であるラムシルマブのバイオマーカーについての新たな知見を報告してくれました。これを励みにメインの方でもさらに頑張ってください。おめでとうございました。(志村)

 

Classic Chronic Pancreatitis is Associated with Prior Acute Pancreatitis in Only 50% of Patients in A Large Single-Institution Study

受理日:

2019年2月8日

Authors:

Hori Y, Vege SS, Chari ST, Gleeson FC, Levy MJ, Pearson RK, Petersen BT, Kendrick ML, Takahashi N, Truty MJ, Smoot RL, Topazian MD.

雑誌名

Pancreatology

コメント

慢性膵炎 (CP; chronic pancreatitis) の発生機序は、急性膵炎 (AP; acute pancreatitis) から起こり、それが繰り返される (recurrent AP) ことにより形成されるというSentinel acute pancreatitis event仮説が主流です。しかし、Mayo Clinicにおける3年間のCP 499例の解析を行うと約1/2がAPの既往がなく、約1/4しかその仮説に当てはまりませんでした。またそれを10年間のpopulation-based studyにてvalidationを行い、同様の結果でした。現在、世界の慢性膵炎の多くの基準を作っている多施設ベースのNAPS (the North American Pancreas Study) group (13施設、477例) とHungarian Pancreatic Study Group (14施設、229例) とも比較し、本研究の精度の高さを単施設での解析で導き出すことができました。CPデータベース作成から論文作成までご指導いただきました留学先のprincipal investigatorのSanthi Swaroop Vege先生、Suresh T. Chari先生、米国生活を公私共に支えていただきましたNaoki Takahashi先生に感謝しております。また留学に際し、快く送り出して下さった全ての先生方に重ねて厚く御礼申し上げます。(堀)

“In a recent study to be published in Pancreatology by Dr Hori and colleagues from Mayo Clinic Rochester postulate an alternate mechanism for chronic pancreatitis in nearly half the patients diagnosed with the disease. The traditional understanding is that acute pancreatitis, leads to recurrent attacks, which eventually causes chronic pancreatitis. During a sabbatical in Mayo Clinic Rochester with Drs Vege and Chari, Dr Hori meticulously reviewed charts of nearly 500 patients with chronic pancreatitis and found that nearly half the patients never gave a history of prior pancreatitis. This confirms the findings of a recent population-based study from Olmsted County, MN, USA. Mechanism of “silent” chronic pancreatitis in these patients is unknown and needs further study”. (Suresh T. Chari and Santhi Swaroop Vege)

 

Endoscopic drainage using a lumen-apposing metal stent under contrast-enhanced harmonic endoscopic ultrasonography guidance

受理日:

2019年2月8日

Authors:

Hori Y, Yoshida M, Hayashi K, Naitoh I, Kato A, Miyabe K, Kataoka H.

雑誌名

Endoscopy

コメント

2018年11月に、本邦初の急性膵炎に伴う局所合併症 (膵仮性のう胞 [PPC] 及び被包化壊死 [WON]) 治療の専用システムとして、膵臓用瘻孔形成補綴材 (Hot AXIOS system) が限定施設認定で保険収載されました。当院でも使用させていただく機会がありましたが、内部が血液成分で満たされており、安全に穿刺およびステント留置が可能か困惑した症例でした。そこにソナゾイド造影を付加することで、血液成分とWONの壁を確実に認識でき、安全に処置を完遂できましたため報告させていただきました。処置ならびに論文作成に関して、ご指導いただきました先生方に厚く御礼申し上げます。何より一番の喜びは、この患者さんの病状が軽快し、退院に向かえていることです。(堀)

 

Feasibility and safety of duodenal covered self-expandable metallic stent fixation: an experimental study

受理日:

2019年1月25日

Authors:

Hori Y, Hayashi K, Naitoh I, Kato H, Nomura T, Miyabe K, Yoshida M, Jinno N, Natsume M, Kato A, Asano G, Takiguchi S, Nakajima K.

雑誌名

Surgical Endoscopy

コメント  カバー付き胃十二指腸ステントの機能不全の主原因として「逸脱」が挙げられます。それを予防するためのステント把持法を提唱する目的で、各把持法の有効性と安全性についてin/ex vivoで実験を行い、報告させていただきました。実験に際し、ご指導いただきました大阪大学次世代内視鏡治療学の中島清一教授はじめ、ご協力いただきました先生方に厚く御礼申し上げます。(堀)