肝臓グループ

 肝臓グループは肝臓全般に関する診療治療を担っています。その疾患は非常に広くウイルス性肝炎からアルコール性肝炎、自己免疫性肝炎、薬剤性肝炎等の肝炎、さらに肝硬変、肝臓癌、さらには食道静脈瘤の治療も担当します。
当グループは旧第一内科時代から伝統的に肝硬変、肝臓癌の治療が充実しております。その治療成績は東海地区随一の件数を誇っており症例は豊富です。

 ラジオ波焼灼療法(年間100例)、エタノール局注療法、肝動脈塞栓療法、分子標的薬、放射線療法等の最新の集学的治療を導入し、治療効果を向上させております。さらには全国でも数施設しか行っていない温熱療法も症例によっては可能で、陽子線治療も西部医療センターと提携して多数行っています。また肝癌再発予防の治験にも参加しております。昨年度からは非侵襲的肝硬度測定(フィブロスキャン)も導入して最先端の検査体制をとっております。

 ウイルス性肝炎に関してはめまぐるしく進化するC型肝炎のすべての治療をいち早く導入し年間100例を超える治療を実施。近年登場した内服薬による治療もいち早く導入してます。また、近年増加著しいNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)に対し新規患者の発見を積極的に行い早期の治療介入を図っています。

 肝硬変治療に対する他施設共同の臨床研究を行っており、前向き試験を実施しています。

 

主な対象疾患

1.肝臓

  • ウイルス性肝炎、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変
  • 肝細胞癌 (肝臓癌)
  • 脂肪肝、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)
  • 原発性胆汁性肝硬変
  • 自己免疫性肝炎
  • アルコール性肝障害
  • 薬剤性肝障害
  • 肝膿瘍
  • 胃食道静脈瘤

 

研究

ウイルス性肝疾患の効果的治療法の開発

 C型肝炎において過去のインターフェロン治療時には遺伝子検査を多用して効果的に治療できるよう努めていました。現在は内服薬による治療が主体となっていますが一部効果が不十分な症例もあり遺伝子的な解析を行っています。またB型肝炎のウイルス遺伝子解析も行い新規治療法の開発に向け研究中です。

肝発癌新規遺伝子の解析、肝硬変の新規治療法の開発

 発癌にかかわる新規遺伝子の発見とその臨床応用を目指し研究中。文部科学省の科学研究費を獲得しており肝硬変、肝癌の新規治療開発の研究中です。

肝癌抑制のための新規治療法の開発(臨床研究)

 他施設共同の前向き試験を長期間実施し肝癌発癌予防の治療法の開発を報告しました。(2017年)

NASHの漢方薬治療の開発

 次世代の肝臓病の主体となる脂肪肝炎の治療法の開発を様々な角度からアプローチしております。特に漢方薬による治療に注目して現在研究中です。

 

若手医師へ

 現在、大学は比較的人数が少ないですがメンバーは関連病院に赴任していて頑張って実績を上げております。そのため他施設の共同研究も盛んで非常に評価されている研究発表もあります。女性の割合が多いのも特徴であり女性の医師には比較的取り組みやすい臓器、疾患だと思います。現在アメリカに留学中の者もおり、今までの留学先はフィラデルフィアのThomas Jefferson UniversityやNIH等があります。

 肝臓は切り取るともとの体積に戻るという消化器の中での再生能力の高い唯一の器官で、とにかく学問としてとても面白い臓器です。漢方を含めていろいろな治療法が考えられるので一緒に治療法を模索していきましょう。