消化管グループ

 GI (Gastrointestinal=胃腸)グループは、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸のいわゆる消化管の疾患に対する診療、研究を行っています。この領域の患者数は多く、疾患の種類も多岐にわたり、消化管癌や炎症性腸疾患など未だ病態の解明、治療法の確立されていない疾患も多くやりがいのある領域です。2017年2月には、当教室の城 卓志教授が会長で、第13回日本消化管学会総会学術集会を名古屋国際会議場で開催しました。

1) 臨床(臨床研究を含む)

  • 消化管癌に対する特殊光拡大内視鏡診断、早期癌に内視鏡的粘膜下層剥離術、大腸ポリープに対する内視鏡的ポリペクトミー、粘膜切除術、炎症性腸疾患に対する抗サイトカイン療法、白血球除去療法、進行癌に対する化学療法、機能性胃腸疾患に対する薬物療法などの高度な医療を行っています。
  • 消化管癌の内視鏡的粘膜下層剥離術の全国多施設共同試験、進行胃癌、大腸癌に対する化学療法の多施設臨床研究などを積極的に進めています。
  • 炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎、腸管ベーチェット病、当院での患者数は約300例を超える)の領域では、新薬の臨床治験や厚労省班会議主導の全国多施設共同研究などに取り組んでいます。
  • 小腸カプセル内視鏡、大腸カプセル内視鏡による先進的な診断法も積極的に行っています(日本カプセル内視鏡学会認定指導施設)。
  • 2011-2014年に再発食道癌に対する光線力学療法の厚生労働省班会議班員として医師主導治験に参加。当治療法は2015年に保険承認されました。
  • 消化管イレウスに対する新しい治療法の開発を目指した多施設共同試験を関連病院とともに行っています。

2) 研究

消化管領域疾患に対する新しい診断、治療を目指した以下のような研究を行っています。

  • 消化管癌に対する新しいバイオマーカーの探索研究
  • 微小環境からみた癌進展メカニズムの解明と標的分子の探索
  • 癌のエピジェネティクス機構の解明
  • 癌細胞のユビキチンファミリーによる免疫チェックポイント分子の制御機構の解明
  • 腫瘍溶解ウイルスによる新規消化管癌治療の開発
  • 消化管の幹細胞システムの維持と制御機構の解明、再生医療への応用
  • 新規光線力学療法、診断法の開発 など

3)若い先生方へのmessage

 臨床研修においては、消化管領域疾患の診断、治療の基礎を内視鏡検査・処置も含め徹底的に指導します。名市大病院の救急車の搬送件数は増加の一途をたどっており、消化管出血に対する内視鏡的止血術、腸閉塞の治療など、消化器内科医師として必要な緊急処置の対応力も十分に身につけることができます(目標:内科専門医などの取得)

 女性医師の方へ:当領域では女性医師を希望される患者さんが少なくありません。特に炎症性腸疾患や大腸の腫瘍の診療において女性医師だとスムーズに進む傾向があるようです。当グループでは女性医師を歓迎します!

 基礎的な臨床能力を習得した後には、ある程度の専門性を磨いていただきます。早期癌に対する内視鏡的手術治療(内視鏡的粘膜下層剥離術)などの外科に近い領域から、IBDに対する抗サイトカイン療法や手術不能進行癌に対する化学療法(抗がん剤治療)など、こちらは頭脳を使う内科らしい領域まで、専門領域の幅も広いためどこかに自分にぴったり当てはまる専門領域がみつかると思います(目標:消化器病学会専門医、消化器内視鏡専門医、消化管学会専門医、がん薬物療法専門医、がん治療機構認定医などの取得)

 GIグループは研究にも力を入れています。現在、当グループの10名が文部科学省の科学研究費(各自3年間で約500万円程度)を獲得し、新しい診断、治療法の開発を目指して研究を行っています。長い医師人生において一度は研究生活を体験し、研究成果が出た時の喜び、海外での発表の楽しさを味わっていただきたいと思います(目標:医学博士号取得、希望があれば海外留学など)

 

GIグループメンバーの海外留学先

  • University of Calgary, Department of Molecular Biology and Oncology(カナダ)
  • Louisiana State University Health Science Center, Stanlay S. Scott Cancer Center, CSRB, Department of Pathology, New Orleans (米国)
  • Harvard Medical School, Vascular Biology Program and Department of Surgery, Boston Children’s Hospital(米国)
  • Temple University, Fels Institute for Cancer Research and Molecular Biology(米国)
  • National Cancer Institute (NCI)(米国)

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